2014年3月15日、読売新聞から、転載します。

 

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大田原市黒羽田町の黒羽山大(だい)雄(おう)寺(じ)が所蔵する幽霊の掛け軸にまつわる言い伝えが、漫画単行本「枕返しの幽霊」として発売された。おどろおどろしい話に創作も交え、かわいらしい絵柄で親しみやすく描かれている。

大雄寺は1404年(応永11年)創建の曹洞宗の古刹(こさつ)。戦乱で焼失したが、1448年(文安5年)に黒羽城主第10代大関忠増が再建して以来、大関家の菩提(ぼだい)寺となった。総かやぶき屋根の本堂や禅堂などは県文化財に指定され、映画などの撮影にも使われた。

掛け軸は、髪が長くてやせ細った女性の肖像画。江戸時代中期、牡(ぼ)丹(たん)の絵が得意だった古(こ)柳(りゅう)園(えん)鶯(おう)居(きょ)という画家が母親を描いたものと言われる。寺に残る説話によると、「牡丹の間」に泊まった紙問屋の若い行商人が、夜更けに見た幽霊の夢に驚いて目を覚ますと、枕元に置いたはずの荷物と掛け軸が足元にあり、布団が180度回転しているのに気づいた――という。

倉沢良裕住職(63)が、「幽霊の話を子供にも分かりやすいよう漫画にできないか」と、2年前に知人を通じて那須塩原市在住のイラストレーター芦(あし)月(らぎ)とぉるさんに依頼。芦月さんが史料を調べるなどし、1年半かけて22ページのストーリーに仕上げた。巻末では、幽霊とお化けの違いや大雄寺の沿革も説明している。

「説話の内容に沿わせながらフィクションにするのに苦心した」と芦月さん。倉沢住職は「掛け軸は寺に伝わる宝物の一つ。とても読みやすくまとめてくれた」と喜び、寺を訪れる観光客や座禅の研修生らにも勧めたいという。発売は随想舎(宇都宮市)からで1部500円(税別)。

(2014年3月15日 読売新聞)