宇都宮市の元小学校教員・小板橋武さん(76)が、市の民話を描いた絵本「孝子桜こうしざくら」(随想舎)を出版した。

市立城山西小(同市古賀志町)の校庭に立つ樹齢400年のシダレザクラで、民話では息子「孝助」が病気の父親に花を見せたいと祈ったところ、満開の桜の花を咲かせ、喜ばせたと伝えられている。小板橋さんは「親孝行や人を思いやる気持ちなどを教えてくれる話。本にすることで、多くの人に知ってもらえれば」と話している。

小板橋さんは長い間市立小学校の教員を務め、子どもの前で話をすることが好きだった。退職後は10年ほど前から「下野民話の会」の会員として、小学校や老人ホームなどで民話の語り部の活動をしてきた。

「孝子桜」の話を知ったのは、語り部を始めてまもなくして同小を訪れた時だった。校長から話を聞き、「息子の父親に対する優しさが感じられる」と思った。以来様々な場所で語ってきたが、「本当にそんな木があるのか」「自分も見てみたい」などと言われ、特に人気がある民話だったという。

5年ほど前から構想を練り始め、1年間かけて書き上げた。文章は子どもにも理解できるように分かりやすい言葉を使い、父親と孝助の会話から親子の絆が伝わるように心掛けた。挿絵は、孝助の優しさを表すため、水彩絵の具を使って淡い色合いで仕上げた。最後に満開の桜が咲く場面では、2人の驚きと感動を伝えようと桜の花が強調されている。

小板橋さんは「いろいろな民話があるが、孝子桜は宇都宮市ならでは。宇都宮の人には特に読んでもらいたい」と話している。(佐伯美保)

(2012年12月31日??読売新聞より)