★下野新聞社「SOON」より転載。

 

【日光】瀬川の元国土交通省職員、佐藤寿修さん(73)が「勝道上人が生きた時代 『補陀洛山建立修業日記』をめぐって」を出版した。

幾多の困難に打ち勝ち、日光山を開いた勝道上人が生きた時代を考察し、後年の偽作ともいわれている補陀洛山建立修業日記を検証した。経験者でないと書けない記述があるという。

佐藤さんが40代の時、明治政府が西洋の土木技術を日本に取り入れてから1世紀が経過したことを契機に、国交省が日光の河川事業はじめ土木工事に関する記念誌を発行することになった。編集に関わった佐藤さんは日光のルーツを調べ始め、勝道上人と出会った。

勝道上人の執筆とされる補陀洛山建立修業日記は、冒頭で補陀洛山すなわち日光山の成り立ちと勝道上人の出自について述べている。

鎌倉時代の偽作という説がある補陀洛山建立修業日記を読み進めると、816(弘仁7)年の記載に目が止まった。この年は勝道上人82歳で入寂の前年に当たる。

?中禅寺で修行中に大雨があった。山林土地がことごとくごう音を上げて振動し、湖水には白波が上がり、この世の最後を思わせるようだった。一心に神仏に祈ったところ、静けさが戻り、あたり一面に不思議な香りが漂っていた。

佐藤さんは「この記述は、男体山に土石流が発生したことを物語り、間近に経験した人でないと記録できない」と指摘している。

A5判、229ページ。1800円(税別)。

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