【佐野市】田中正造の研究を続けている市や埼玉、群馬県の市民らで組織している「渡良瀬川研究会」(菅井益郎代表)は、正造没後100年を特集した研究誌「田中正造と足尾鉱毒事件研究」第16号を発行した。「もの」よりも「いのち」を重視する正造の思想を基に、東京電力福島第1原発事故と足尾銅山鉱毒事件を結ぶ研究が発表されている。

同研究会は1973年に発足したグループ「渡良瀬川鉱害シンポジウム」を母体に、78年に誕生した。「田中正造および現代に続く足尾銅山鉱毒事件の研究を深め、その思想と運動を継承し、普及すること」を目的にしている。

16巻は正造没後100年に合わせて、4年ぶりに発行。特集は、正造研究の第一人者、小松裕熊本大教授や菅井代表らが執筆している。

菅井代表は「足尾?福島 歴史に学ぶ意義」と題し、「電気の普及に象徴される文明を批判したのは、足尾銅山鉱毒事件に、生命を脅かす『近代文明の本質』を見た」ことを挙げている。「東電福島第1原発の事故発生は田中正造のつぶやきを誰もが否定しがたい予言として甦らせ、われわれに『核との共存』の廃絶をラディカルに迫っている」と述べている。

16巻はA5判、192ページ。税込みで1575円。

問い合わせは、随想舎電話028・616・6605。
下野新聞社「SOON」より転載。