2016年9月8日、「産経ニュース」から、転載します。
http://www.sankei.com/region/news/160908/rgn1609080013-n1.html

宇都宮市出身の作家、立松和平さんが自らの足跡についてつづり、平成22年の急死後は長男の作家、横松心平さん(43)が後を継いで父の歩んだ道をたどりながらつづった親子リレーの異色作「振り返れば私が、そして父がいる」(随想舎)が出版された。横松さんは父の仕事を引き継いだ安堵(あんど)感をにじませ、「父との関係は衝突もあったが、いろいろと思い出される」と話している。

非常に多作だった立松さん。同書は、単行本73冊に収められた立松さんの長短編の小説全集「立松和平全小説」(勉誠出版)の巻末エッセーを一冊にまとめた。全集では当初、立松さんが自伝をつづっていた。「父はこの原稿を書くのを非常に楽しみにしていた」と横松さん。だが、立松さんは急死。10巻以降は横松さんが引き継ぐことになった。父の回想にとどまらず、息子の視点から立松さんの仕事を見つめ直した。

「自分の父を客観的には評価できないが、たくさん書いたことは間違いない。父とは、楽しい思い出ばかりでなく、衝突したことや親子関係が疎遠になった時期もあったが、いろいろと思い出される」と振り返り、「自分も子供ができ、子供との関係を重ね合わせて考え、向き合う機会を持てて良かった」。全集は30巻に別巻1冊を加えて昨年、完結。横松さんは5年にわたって書き続けた。

四六判312ページ、1800円(税別)。問い合わせは随想舎(電)028・616・6605。

978-4-88748-327-9